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はっきり言って、平民のことを自分達の為に生きている者だと考えている貴族達が通うこの学園に通っている2人の平民は、猛獣の檻に入れられたウサギのようなものだった。
……あくまでも、普通の平民だったらの話だが。
「よし、『赤髪』。座って良いぞ」
どうやらクレアの中では、少年の呼び名は赤髪で確定したらしい。
赤髪は素直に従い席に着く。
赤髪にとっては、勝手に呼び名を決められたことはかえって好都合だった。
クレアは赤髪が名前を名乗らなかったことから、彼が2人しかいない平民だと察し、彼を守るために強制的に呼び名を作ったのだ。
この世界では、名前は強い力を持っている。
有名な名家だと分かると好待遇を受け、貴族でないと分かると貴族には疎遠にされる。
あくまでも、冗談の一つのように赤髪と呼んだクレアの演技力はかなりの物だった。
尤も、赤髪が名乗りたくない理由は他にもあったのだが、それに気づいた者はこのクラスには居ないだろう。
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