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なぜ?何?なんで?
全く訳が分からない。まだ昼間。そしてホテルの目の前。都市はそこそこ発展している。
こんなところで何故?
案内人の黒人が手を挙げて振っている。黒人の後ろには同じような人が4人ほどこっちに向かってくるのが見えた。
僕は素早く逃げた。体が直ぐに逃げろと反応した為だ。僕は苛められる性格であるが、見も知らぬ人に襲われた事はない。
直ぐに追いかけてきた案内人に追いつかれると思った瞬間。背負ったリュックを投げ捨てた。
投げ捨てたバッグに何人かは離脱したが何故かバッグに見向きもせずにまだ僕を追いかけてきている。
「何なんだこの人達、ほんと、何なんだーー」
ハァハァハァ。
地理が分からない。このままだときっと追いつかれる。
ハァ、ハァ、ハァ。
どこか遠くでパァン、パァン、パァンと銃声のような音が響いている。
今いる道は裏路地の一本道。挟み撃ちにされる可能性がある。
ハァハァハァ、と、とにかく広い所にでないと。
路地を抜ける。そう思った瞬間、カルタは段差につまずいた。石畳の道は整備されておらず、盛り上がった石角につまずいたのだ。
直ぐに立ち上がったが遅かった。目の前に白い車が一台止まったのだ。
後部席から降りてきたのは一人の少女であった。
金髪に白い肌。人形のように。天使のように。可愛らしく、美しくもある少女を前に僕は時が止まったかのように動けなかった。
追いかけてきた連中も立ち止まる。
「あなた日本人?」
その少女は満面の笑みを浮かべて僕に手を差し伸べた。
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