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少女が何かを語りかける。
少し出てきた風の影響かしら?と言わんばかりのジェスチャーで首を傾ける。
再度少女は引き金を引いた。
弾丸は回転しながら徐々に霧を纏う。
弾道は完全にカルタから逸れた。
黒い後煙を引きながら、追いかけてきていた後ろの少年の頭を吹き飛ばす。
パンパンパンパン。
少女は立て続けに残りの銃弾を全てカルタに向けて放った。
至近距離で撃っているにも関わらず銃弾は全てカルタから逸れて行った。
まるで衛星のようにカルタの周りを回っている。
後にはカチカチカチと空しい乾いた音が響いた。
少女を乗せてきた車は異常事態を察知しすでにその場から発進されている。
カルタは少女にゆっくりと手をかざした。
少女は満面の笑顔を絶やすことはなかった。
その笑顔にカルタは思った。この子もきっと僕と同じなんだろうと。
白い少女は赤く染まった。
カルタは足に纏わりついていた鎖が音を上げて崩れていくように感じた。
返り血を浴びたカルタはゆっくりと元来た道を引き返した。
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