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カルタ6カ月目
「ほらカルタ、逃げろ逃げろ」
「ハァハァ、もう無理だ。殺そう。そっちの方がいい。」
「ダメだって、そんな簡単な方法を選んだら訓練にならないだろう」
「そんなこと言っても力がもう無い」
「余計な力を使いすぎなんだよカルタは」
クロコと夜の森の中を走っていた。
視界は悪い上に相手が見えない。
「ホーウ。ホーウ」と鳥のような叫び声を挙げ、10人程の追ってが迫る。
先住民族を数人ほど殺したところからこの訓練はスタートした。
相手には僕の姿が見えている。
「痛っ」
腕を見ると僅かに矢の先が刺さっていた。僕の結界を突き抜けて。
そして結界は見事に粉砕される。
「首に刺さらなくってよかったねカルタ」
クロコは猫へと姿を変えた。
「仕方がないなぁ。それじゃあもう殺していいよ」
「でも、もう力が・・」
「それじゃあ殺されるんだね」
クロコは暗闇に姿を消した。
「裏切り者ーーー」
近づいていた声が一斉に静かになった。
大声を出したのがまずかった。
クロコが追っ払ったのではない。
僕を獲物として隙を伺う状態に移行したまでだ。
僕は走り続ける。しかし確実に追い込まれている。
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