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さらに走り逃げ回る事30分。
これ以上逃げる事が出来なくなっていた。
方向感覚を見失ってしまった。
この先に走れば敵から離れるのか、それとも近づいていってしまうのかが全く分からない。
カサカサと葉が揺れる音だけが常に自分周囲から発せられる。
直ぐに飛び掛かって来ないのは、先住民の殺し方が斬撃による細切れであった為、警戒してくれての事だろう。
既に周囲を取り囲まれていると考えた方がいい。
ここで殺されるのかと覚悟した。
大木を背に目を閉じた。
その時、黒い視界の中、さらに黒く存在する影が見えた。
目を開けるも、そこには何もない。
再び目を閉じる。
何も見えない視界の中、黒よりも黒い影が6つ見て取れた。
大きさとしてはバラバラだ。何だこの影は?
僕の持つブラックリンクと同じエネルギーとそっくりだ。
クロコが言っていた。
クロコと通して繋がるのは人間の負のエネルギー体であり僕はそのクロコを通じてエネルギー体の力を引き出している。
僕が見える6つの影は追ってきた奴らの負のエネルギーそのものだ。
怒りに満ち溢れたそのオーラが流れ出ているのだ。
その力、使ってやる。
もう体力も限界だ。姿の見えない1人1人を相手にしていたら絶対に殺される。
僕はイメージした。
ブラックリンクの力はイメージそのものだとカルタは言っていた。
目を閉じて視界に映る6つの漆黒存在。
その存在の影から手が伸びる姿を。
手に握るナイフでそいつらの両足を切り落とす。
「行け」
カルタは空中に手をかざし、手を横に切った。
それと同時に何とも表現できない悲鳴が夜の闇に響き渡った。
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