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俺が契約したアパートは二階建てで、部屋は二階の角部屋だった。部屋の窓からは、平屋の一軒家が塀の向こう側に見える。
一軒家と言っても、屋根は瓦ではなくトタン板で葺いており、色褪せ、所々ささくれているかの様に見える茶色い壁に、玄関と窓をそれらしく設(しつら)えているだけの家だ。塀に囲まれており、玄関の前には細やかながら庭も広がっている為、家と呼べるが、それが無ければ小屋と言っても差し支えなさそうだった。
その庭も家同様、手入れされている様子はない。雑草すら生えてない痩せた地面が、剥き出しのまま放置されている。
そんな状態を見て、俺は当初、あの家には人が住んでないものだと思い込んでいた。
しかしそれは、大学の夏期休暇を終えて、実家から部屋に戻った時の事だった。
出口を塞がれていた部屋の熱気に閉口し、窓を開け放つ。その時、偶然、俺の視界に映ったあの家の、あの不自然に設えられた窓に、人影が映った。
そこで俺は、あの家が空き家でない事を知ったのだ。
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