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付き合いが悪くなり、学校が終わってから寄り道もせず真っ直ぐ帰るようになった俺を、友人は当初、彼女でも出来たのかとからかっていた。しかし次第に口数が減り、顔色が悪くなっていく俺の様子に、心配し始める。
何が起こっているのか。
友人は、最近では夢遊病者のように、ただ学校に通っているだけになっていた俺の意識を、どうにか自分に集中させ、話を聞き出した。それは一日がかりだったが、その内容を把握したようだ。授業が終わった途端、目が覚めたかのように目的を持って動き出した俺を呼び止め、俺の腕を掴んだ。
俺は友人のその行動に、自分でも理由が分からないままに激しい憤りを感じる。しかし友人は、一緒に俺の部屋に行くとだけ言うと、すぐに手を離した。すると俺の中の憤りは掻き消え、俺はぼんやりと、友人の言葉に曖昧に頷くだけだった。
その後は、友人の存在は俺の頭から消え、その代わりにあるのは、自分の部屋に戻り、窓を開けてあの家のあの窓を見なければならないという、唯それだけになっていた。
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