隣の笑顔

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      木の葉が落ち、道を歩けば心地の良い音がする風が冷たく吹く放課後の事。 先生たちの会議のため短縮になった授業が終わるとクラスの奴らとカラオケに行った。何と無く気乗りしなかった俺は、1時間で別れを告げた。 帰路に立つと寂しさが襲う。 さっきまで騒いでいた事もあり、いきなり一人になった現実に耐えられなかった。15時という中途半端な時間帯的にも道行く人も少ない。それがまた寂しさを誘う要素の一つだった。 でも、制服のままじゃ何処にも行けない。家に帰って着替えてからまた出掛ける気にもなれない。それに、誰も居ない家に帰ったら余計に寂しくなりそうだ。 「…やまだ?」 背後からの声に振り向く。 もしかしたら俺を呼んだのではないのかもしれない。それでも躊躇わず振り向いた。 「…ゆうとくんっ」 思っていたよりもずっと大きな声が出てしまった。 少しだけ離れた所に立っていたのは確かにゆうとくんだった。よくこんなにも距離があったのに声が聞こえたなと自分で驚いた。 なんでこんな所に?今学校帰り?家が近いの?一人?ちねんは? 聞きたい事は沢山あるのに、いつもみたいに唇が重くなる。 「一人なんだ。クラスの奴らと居なかった?」 「うん。バイバイした」 「そうなんだ」  
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