隣の笑顔

3/19
231人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
      相変わらずニコリともしないゆうとくん。ゆうとくんはゆっくりとこっちに来た。 寂しいと思う時にまさかゆうとくんに会ってしまうなんて。運がいいのか悪いのか解らない。 まぁ一人で居るよりはましかもしれない。 「ゆうとくんは?」 振り絞った言葉。 すぐ隣にまで来たゆうとくん。 見慣れた銀縁のメガネに右頬の湿布。それでもやっぱり綺麗だった。 こんなにも綺麗な人を俺はきっと知らない。見た事無い。 「…病院」 「病院?どこか悪いの?」 「見舞い」 互いにぽつりぽつりと言葉を出す。 それ以上聞く事も無かった。それに聞いたらいけない気がした。 二人で立ったまま沈黙。気まずくないわけがない。内心、どうしたらいいのかを必死で考える。 「…時間あるなら話さない?」 「えっ?」 意外にも先に言葉を発したのはゆうとくんだった。 ゆうとくんを見ると、俺を見ているのにどこか遠くを見ている様に感じた。俺はゆうとくんに解るように大きく頷いた。それだけで言葉はいらなかった。 ゆうとくんはすぐに歩き出し、近くにあった公園へと向かう。俺は少しだけ距離をあけてゆうとくんを追った。  
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!