231人が本棚に入れています
本棚に追加
相変わらずニコリともしないゆうとくん。ゆうとくんはゆっくりとこっちに来た。
寂しいと思う時にまさかゆうとくんに会ってしまうなんて。運がいいのか悪いのか解らない。
まぁ一人で居るよりはましかもしれない。
「ゆうとくんは?」
振り絞った言葉。
すぐ隣にまで来たゆうとくん。
見慣れた銀縁のメガネに右頬の湿布。それでもやっぱり綺麗だった。
こんなにも綺麗な人を俺はきっと知らない。見た事無い。
「…病院」
「病院?どこか悪いの?」
「見舞い」
互いにぽつりぽつりと言葉を出す。
それ以上聞く事も無かった。それに聞いたらいけない気がした。
二人で立ったまま沈黙。気まずくないわけがない。内心、どうしたらいいのかを必死で考える。
「…時間あるなら話さない?」
「えっ?」
意外にも先に言葉を発したのはゆうとくんだった。
ゆうとくんを見ると、俺を見ているのにどこか遠くを見ている様に感じた。俺はゆうとくんに解るように大きく頷いた。それだけで言葉はいらなかった。
ゆうとくんはすぐに歩き出し、近くにあった公園へと向かう。俺は少しだけ距離をあけてゆうとくんを追った。
最初のコメントを投稿しよう!