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鼓膜が破れたって言われただけじゃ大袈裟にもなる。でも、診察にも行って本人が言ってるんだ。ホントに大袈裟な事じゃないんだろう。それに俺がどうこう言った所でどうにかなる事でもない。大体にしてなんでそうなったかも解らないんだから。
それに、なんでゆうとくんが俺にそんな事を話そうと思ったのかすら解らなかった。
俺の言葉を最後に沈黙がはしる。
聞きたい事が沢山あるのに…。なんで声が出なくなるんだろう。怖いのか?怖いって何が?ゆうとくんの全てを知る事が?ゆうとくんに拒まれる事が?
「…山田も、聞いただろ」
ドクンドクンと強く脈を打つ。
ゆうとくんの一言、一言に胸を揺すられる。もう、吐きそうだ。胃から込み上げてくるものを感じる。
「何、を」
言葉が途切れ途切れになる。
あれ?ゆうとくんって、俺の事"山田"って呼んでた?学校だと"涼介"だったような気がする。どっちでもいい事なんだけど。
「俺の傷、侑李がつけてるって」
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