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先生と他愛も無い話をしながら歩くと、あっという間に教室に着いた。
先生のお陰かは解らないけど、全くと言ってもいいくらいに緊張していない自分が居た。
逆に驚いた。
「じゃあ、入るぞ」
「はい」
先生が扉を開けると、騒がしかった教室が一瞬にして静かになった。
「はよー。遅れて悪かったなぁ。文句言うなら、コイツに言えよー」
「えっ」
先生に背中を押され、教卓の隣に立った。
40人近い人間がみんな、俺を見ていた。
さっきまで全く感じていなかった筈の緊張が一気に俺を襲う。
人前は苦手じゃ無いのに。言葉が出て来ない。
先生の方を見ると、先生は腕を組んで笑っていた。
「転校生の山田だ」
「…涼介…です……」
先生の言葉に乗せてちゃっかり挨拶。
「自己紹介は…まぁ、後で勝手にやれ。涼介の席は…一番後ろのあの席だ」
「宜しく…です…」
小さく一礼だけして、机と机の間を通って先生の指した席へと行く。
視線の圧力が半端じゃ無い…。男子だけって事も含めて。
「じゃあ、今日のSHRはぁ…」
俺が椅子に座ると、先生は話を始めた。
振り向いて俺を見ていた人も前を向いた。
…無事着席。
安堵の溜め息を溢してから、リュックを机の横に掛けた。
パッと見特別不良っぽそうな人は居ない。金髪とか、ピアスジャラジャラとか…
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