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……この状況をどう解釈したらいいのだろうか。
波奈は1分弱固まった。
人間の姿をした吸血鬼の拓人。
黒髪を優雅になびかせて、波奈の肩をさらに寄せた。
彼が発した言葉は……爆弾だ。
全く考えていなかった事。
剣や弓を持ち、馬を率いて戦っている最中で空から爆弾が投下される。想定外の武器。周りを一層する威力を持つ。
……今の拓人の発言がそうだ。
波奈は心の中で叫んだ。
――何を言ってるの。
口に出して言いたいのに、まるで動かない。
喉元まで来ているのに、言えない。
何かの力に抑えられているようだった。
「うそ……冗談でしょ……?」
姫乃は口をぽかんと開けて二人を見る。
親友がクラスで注目されている美男子の転校生と付き合っている?昨日まで見向きもしなかったはずの波奈が……拓人と……。
「本当さ。俺は波奈と付き合ってる。」
余裕を持った表情で姫乃に宣言する拓人。
学校で会った時とまるで口調が違う。
一人称は"僕"だったはずだ。
「彼女とは幼なじみで、高校に入る前に別々の道になって別れた。でも俺は諦めきれなくて、こっちの学校に転校してきたんだ。
引っ越す手続きも大変だったから、今は波奈と暮らしている。」
さらりと彼はまた爆弾を投げてきた。
同居している事を暴露したのだ。
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