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いきなり知らないところで目覚めて、不安でしかたなくて、勇気を振り絞って外に出て、凶暴な魔物に襲われたけどなんとか生き残って、漸く俺と言う人に出会った。
久しぶりに人の温もりに触れた、年端もいかぬ女の子。
そんな、どこにでもいるような女の子に、俺は……カリンを拒絶しそうになった。何故?
簡単なことだ、裏切ると思ったからだ。
強く抱きしめたら壊れてしまいそうなその小さな体が、強く握ってしまったら崩れてしまいそうなその少女の心が……人を信じると言うことができなくなった俺を〝裏切り〟と言う呪縛から解き放しくれた。
──決めた。
俺はカリンを
「絶対に裏切らない」
隠し事もなしだ。
俺は、カリンを自分の命に代えても──守る。
人は、何か守るべきものができた時が、一番強いんだ───頭の片隅で、そう誰かが言っていた。
そしてカリンは俺の腕の中で寝息を立てる。
そこで一つ、疑問が浮かぶ。
───幸せとは何か───
いきなり何だ?と思われるかもしれないが、考えてみてほしい。
このまま、俺の〝復讐〟という物語にカリンを巻き込んでもいいのか。
カリンは人並みの幸せをつかみ取ることが今ならできる。だが俺についてくると言うことは、人間と敵対し、疎まれる存在になると言うこと。
何がカリンにとっての幸せか、俺と一緒に暮らすこと?街で普通に暮らし、家族を持つこと?
分からない。だけどこれだけは言える──それを選択する権利はカリンにある。俺はその選択肢を与えてあげるだけだ。
明日カリンに聞いてみよう、そう思いカリンを抱き枕代わりにして眠る。
久々に、ぐっすり眠れそうな気がした。

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