1月6日。

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Aにはネットを通じた――交際相手がいた。遠距離だった。  Aは頻繁にそののろけ話を幼なじみであるBにしたらしい。Aは幸せそうで、辛そうだったそうだ。  しかし、しばらくしてBに、AがC(同い年、近所の住人)に告白され困っているとメールが届く。それからAが話す内容はのろけからどうするべきかを質問するものに変わる。Aは近距離で現実的な、友人Cの誘いを断る事に「気まずさ」と「もったいなさ」を感じていた。  Bは断定することを避けた。「もっと真剣にほにゃららら~!!」などと言われようと、落胆されようと、答えなかったらしい。  何故か。苛立っていたから。また、Aは後押ししてほしいだけだったはずだから。そう言った。  だが俺は考える。BもAに恋心、愛情といった感情を抱いていたのではないか、と。俺の推測では、"答えはなかった"のだ。おおよそ、ここで参戦しても困らせるばかりだし、答えれば負けた気がする、だとかそういった所だろう。  そしてAは「疲れた」と言い、Cを選ぶ。  Bはどういう気持ちだったのだろうね。今となっては聞くのが面倒だから、わからないが。AとCは果たしてどうなったのかは…ご想像にお任せしよう。俺も知らないから。  一般にAは最悪の選択をしたようにみえるだろう。俺がBなら多分、Aがどうするかわかっていて、してやったりと笑っただろう。そう伝えるとBは、はにかんで「もう過去のモノだ。僕も」と言った。 たまには昔の話も良いものだ、とも言っていたが、それは本当に過去の想いなのかは……ちょっと怪しい。 プライバシーを保護するため人物の名前、性別は伏せるから、勝手に想像して楽しむと良い。  まとめると、たとえ真実が一つでも、答えは一つではないのだ。
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