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「ルカルカ~聴いたよ!!」 「ルカお姉さま。 あの"オオカミ美少年"と 付き合うのですか?」 「なんで…知ってるの… 今日のこと…。」 「えっ付き合うのですか?!!」 「……。誰が…あのクソ男と…。」 「え~。ルカルカ 付き合わないの~?」 彼女は頬を膨らませる。 お調子者の百面相。 双子の姉が"白ノ蘭 響香"。 (はくのらん きょうか) 髪は肩につかないくらいに そろえている。 二人は 性格と髪で見分けられるけど… 響香も髪を結んで、黙っていると似すぎて分からないだろう。 それが"美少女ツインズ" 学園ではそう呼ばれている。 しかし、美少女より可愛らしい。 わたしは そう思う。 中学生だと言われても違和感もなく。 幼いと言っても過言ではない。 「ルカルカは勿体ない。 1学期で5人も屋上で告白されてるのに~。 遊び放題~な~の~に~ 勿体ない~。」 綺麗な青い瞳をパチクリさせて身体を乗り出す。 「なんで知っているの…響香…。」 「え~なんででしょ! 教えないよ~!!」 「しかしですね? あの狼さんは 今学期だけでも、 13人も付き合っていました。 心配ですぅ。」 「………。マスターのまえでその話はよして…。」 クスクス。 マスターは、コーヒー豆をひいていた。 「…、若いっていいことですよ。 でもね?唱香も響香もからかいすぎるのは よくありませんよ? 友達が逃げてしまいますよ。」 二人とも黙って頷いた。 さすがに、マスターには弱い。 血の繋がった祖父だけある。 ……、わたし…からかわれていたのか…。 複雑だけど。 「でも!ルカルカは 響香を裏切らない。」 「ルカお姉さまは 唱香も裏切りません。」 わたしは、無言でそれに頷いた。 「でもっ。」 響香は口を開く。 「橘院 晴は、 モテるから付き合うなら今だよ~!!」 「…見る目がない……。 嫌いだから。」 「え~でも!! 童貞だよーー!!!!」 わたしは、持っていた布巾を床に 落としてしまった。 彼への意外性よりも 彼女からそんな言葉が 出てきたことは… とにかく衝撃的だった。
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