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わたしは どうしようもなく…ため息をつく。
「どこからそんな情報を…。」
「それは企業秘密だよー!」
「情報屋の特権です。ん…?
"どおてい"とは 何ですか?
きょーかさん?」
首を傾げる少女は 訊かなくていいことを口走る。
「えっ!!知らないの~?
童貞ってね~むぐッ!?」
「…言わなくていいから。」
響香の口から手をはなす。落ち着いた彼女は 頬をふくらませた。
わたしはマスターを見る。
「マスター…犯罪にだけは手を染めないで下さい。」
「……。
肝に命じときます。」
そう言ってニコッと誤魔化す…。
マスターもそれなりの情報提供者である。
主犯は たぶん違うと思うけど…マスターもいらない情報ばかり持っている。
血は争えないと思ったのは きっと…わたしだけだ…。
それから他愛もない、話は続く。
「仕事中なんだけど…。」
「接客も仕事だよ~。」
楽しそうに、わたしの作ったオムライスを口に運ぶ双子。
「明日が少し心配です。
ルカお姉さまの噂…広まっていなければ いいのですけれど…。」
唱香の言葉に
ため息は自然とでる。
「目撃者は、二人だからね~。
大丈夫だよ~。何かあったら言ってよ~。」
目撃者は…君たちじゃないのか…。
今だけ疑う自分を許してほしい。
「手加減するよ~
たぶん!!」
「わたくし…唱香は 手加減いたしません!!安心してください!!」
いや…安心できないから。
そして双子は顔を見合せて口を開いた。
『"学園には来れなく"
なるから~ね~。
なりますよね。』
いったい…何人泣かせてきたのかは 定かでない。
けど…頼れる友人。
そして情報屋。
学園でも避けて通る生徒が多い理由は…。
やり過ぎるからだ…。
それは確信に変わった。
「まだ…噂が広まっているとは限らないでしょ…。」
彼女たちに 精神的に殺られたら最後だろう。
わたしは 時計をみた。
彼女たちと絶えない話にきりをつける。
「着替えたら、いっしょに帰ろう。」
わたしは 休憩室に戻った。
何度か分からないため息をついて。
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