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「ルカルカ~!!」 「ルカお姉さま!」 ピタッと両手に抱きつく二人を引きずる。 「マスター…。 お先に失礼します。」 「お疲れ様ですね。 二人をよろしくお願いします。」 そう言うマスターは お酒をお客さんに出す。 昼間は 喫茶店。 夜は バー。 そんな、おくゆかしい雰囲気が溢れる、店内を抜けた。 もうすっかり外は暗かった。 それも当然だ。 午後11時は とうに回っていた。 「明後日から夏休み~!!」 「ルカお姉さま、課題を教えて下さい。」 二人はぴょんぴょん飛び回る。 わたしは 引っ張られ、転びかける。 「いいけど…引っ張らないで…。」 二人は小さい。 わたしは158センチなら、彼女たちは145くらいだと思う。 そうどうでもいいことを考えていた時。 すぐそこに…ガラの悪い集団が近づいてきた。 「ん?こんなところに 可愛い姉ちゃんいるじゃん!」 「おっ?外人? 美人。」 めんどくさい…。 こんなことは 今に始まったことじゃないけど。 「桜ノ丘学園の制服~。 こんな遅くに何してるの? 今から、楽しいとこ行こうよ?」 「あなたたちは…お隣の東ノ丘高校さんみたいだけど? 今から帰るので、そこを通して下さい。」 東ノ丘高校は 不良しかいないと言う、男子校である。 目の前には、不良。 双子とは 比べ物にならない染まりきれていない金髪。 ドクロの飾り…。 ダラシない制服。 私たちよりも 遥かに身長は高い。
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