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「ルカルカ…"これ"って!昔…ルカルカに決闘を申し出ても、すぐ負けて泣いてた?あの?」 「"これ"って何だ!!!? つーかッ! 泣いてねェよ! オレは断じて、 泣いてねぇ!!!!」 「叫ばないで下さい。 聞こえてます。」 「……。オレはあんたらを助けたよな?…。」 「それは~それ! これは~これ!!」 「そうです。 それに確か、ひとつ歳が違いましたよね?」 彼女たちは 彼をいたぶりだした。 「さっきの人にはちょっと敬語使ってたよね~? 何で響香たちには タメグチ~? 上から目線~?」 「昔はあの方に いいところを見せたくて、決闘を申し出していましたよね? でも実際のところはルカお姉さまを…。」 「なっ!? うるさい!!!! 黙れ!! ばーか!!!!!!」 彼は、顔を真っ赤にして言葉を遮った。 「……。わたしを何?」 「なんでもねぇ!!!!」 彼は、そう言いながら手を差し出してきた。 わたしは それを仰視する。 「3年前のことだけどな…決闘のことと"あの件"のことは オレは忘れた。」 「えっ…。」 わたしは 彼の手を掴んだ。 「別に忘れろとは言わねェーよ。 だけどな…あんたは早く立ち直れ…。 そうしないと…あいつが報われない。」 「でも…。」 「あれは事故だ…。」 わたしは立ち上がった。 彼は 思っていたよりも力強く引き上げた。 「うッ。」 お腹に反動がきた。 "ズキッ" 痛い。 足もひねっているようだ。 「おまえ足…怪我してるじゃねぇーか。 おいっ…双子。 こいつ送って行くけど? おまえ等はどうするんだ?」 彼は わたしよりも身長が低かった。 「わたしは別にひとりでも…。」 彼は、しゃがむ。 「えっ…。」 「乗れ。」 「わたし重い…。」 「いいから乗れ!!」 彼女たちは笑う。 「しょ~がないよね~。 また襲われたら困るもん~!! だからルカルカの家に着いて行ってお泊まりしよう!!」 「小さくても一応…助けて下さいましたから、送って下さるなら仕方ないですね。 いっしょに行きます。」 二人は肩をすぼめる。 「……。」 「おまえ等にだけは… 小さい!! 言われたくねェーー!!!!」 しゃがんだまま彼は 怒鳴った。 わたしは 彼に同情しながら、彼に促された。 彼の背中は 温かくて広かった。 出雲 蓮。 "これは 残酷な再会"
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