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いつもの朝。 いつもより早く あなたは 玄関の扉に手を掛けた。 そして その隙間から空を見上げる…。 今にも降りだそうな空模様を気にしながら、いつもの道のりを足早に進んで行く……。 すると、コンクリートの床に黒い染みが、広がり始めた。 君は教科書が濡れないように強く鞄を抱き締めた。 学校へ向かって走り出す…。 少しずつ、激しさを増す雨滴。 濡れる制服を気にして走った…。 死に向かって…。 交差点に差し掛かる。 目の前の信号はチカチカと点滅を始めた。 まるで、必然的なイタズラ…。 それでも思いっきり、濡れた地面を蹴った…。 君は気付いた、しかし… もう遅い…。 君よりも、ひとまわりもふたまわりも巨大な、車体が右折した。 君の存在にやっと気付いた運転手は、逆向きにハンドルをきる。 アナタとトラックが 重なった…。 雨の日の交差点…。 飛び散る破片…。 13歳になって間もない貴方は、冷たく固い道路に倒れていた…。 "ユルサナ…イ…。" その言葉を残して…。
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