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 ……言うならそもそも、俺にそこまで君と話す気は無かった。  だが、だからと言って君を避けたり煙たがったりするのは俺の方針に反していたのだ。  『来る者拒まず去る者追わず』という消極的方針に。その姿勢はいまだ変わっていない。   最初は、俺に話し掛ける人間は昔から付き合いのある人か、随分大人しく見える俺を面白がっている頭の若いヤツ位で。  話を聞いて必要なら返す程度なんて別にどうというわけでもなかったし、今までも偏見を持たれてるのの相手なんざよくしてきたし、というか実際俺もそちら側だろうが……。  まぁそういう風にあんな風な世の中を渡ってきたのだから。そしてこれからも、それは多分変わらない。 「なんかさ、なんか……馬鹿馬鹿しいよな」  ぽつり。    そう、掠れた声で呟いた言葉は紙とインクの匂いとか、無機質で洗練された機械音にかき消されていって、俺は全てを嘲笑える程の何かを欲していたのだろう。  と、思う。  ーーーーなんて不確かなのだろう。  ふと、空を仰ぎ見た。  苛つくほどに綺麗な色をしているそれ。  その色を思いながら、****の眩しさに俺はゆっくりと眼を閉じた。     して、****とは何だったか。            ……覚えていないな。
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