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改めて丘からの景色に目を休ませる。
叫んだ山々の後ろには真っ白い綿飴のような入道雲。それを見上げるように、平地に植えたばかりの稲が数え切れないくらい背筋をのばしている。ポツリポツリと建てられた古民家が味を添える。
まるで絵画の油絵ね。
「おや。油絵だなんて、オツな方だ」
「誰?」
ふいに背後から男の声があったから振り向いた。
「ここからの景色を絵と表現できるあなたはきっと感受性も豊かなんでしょうね~」
軽々しいC調言葉が辺りに響く。なんか言い返された気がして私は嫌味のひとつでも返してやりたいと思った。
「夏の情景に詩を当てはめては、つまらないもの。見て御覧なさい。太陽の光が当たれば当たるほど、この夏は絵になるの」
「さすがッスね~。まぁ、我々からしたら夏より冬のほうが好きですけどね」
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