『見上げているもの』

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丘の上で深呼吸。 透明な夏が体内へ侵入し、汚いものを自然へと返してくれそうな感覚がある。 ここからの景色は最高だ。 なんてったって、家から自転車を飛ばし、かくれんぼするように生い茂る草を掻き分けてやってきたんだから。苦労が報われた感じ。 スカートなんか履いて来なければよかったなんて今更後悔しても遅い。 「男なんてみんなバカ!!」 遠くに見える山々にそう叫んでみたけどやまびこが戻ってくることなんかなくて、麓にある民家のおばあちゃんに聞こえたりしてないかちょっと不安になった。 「(あき..ちゃんでいいのかな?普段家で何をやってるの?)」 「(私はだいたい本を読んで、メモして、想像してます)」 コンパでこんな会話をしてしまうと男は大抵次の女の子を探す。 いや、その場ではしないんだけど、目を見るとわかる。 根暗な女。 男達の目はそう言っていた。
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