非人非鬼 其の壱

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「はあー、はあー。」 立派な着物を着ていて、白い布で顔を覆い隠している女性が探し人をしている男性の方へ走ってきた。 だが、どちらも互いの存在に気づいていない。 そうなると、当然の如くぶつかるわけで。 「わっ!!」 「きゃっ!」 二人は、ぶつかり、共に同じ方向に倒れた。 「いてて。おい、大丈夫か。」 二人はちょうど男の上に女性が馬乗りする形になった。 気づくと女性の顔が顕になっていた。 どうやら、倒れるときに布が取れたようだ。 「.....っ!」 男は女性の顔を見て言葉を失った。 女性の顔は大和撫子そのもので、艶やかな黒髪に大きな目、それに合わせるかの如く、鼻はすらっと高く、小さな唇は綺麗なピンク色をしている。 女性も男の顔を見つめいていた。 この男も中々のイケメンなのである。 二人は数秒の間見つめ合っていた。
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