非人非鬼 其の壱

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「ここまで来れば、大丈夫だろう。」 二人は町外れ辺りまで来ていた。 結構な距離があったが、男は息を切らしておらず、涼しい顔をしている。 男は女を降ろした。 「あんた、名前は?」 「…か、かぐやと申します。」 女は静かな声で言った。 人見知りなのだろうか。 おどおどした様子だ。 「俺、天道正宗。よろしくな!」 男は笑顔で言った。 二人は、ちょうど大人二人は入れそうな岩穴を見つけ、そこに居座ることにした。 「ところで、なんでかぐやは追われていたんだ?」 「…私が家出したからでしょう」 正宗の問いにかぐやはゆっくりと答えた。
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