10人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
小鬼たちの目的はあくまでこの妖刀であって赤ん坊でない。
しかし、妖刀から赤ん坊を引き離そうとしても離せなかった。
小鬼はしばらく考えた後にこう言った。
「いいでしょう。
ですが、妖刀はわしらのものですぞ。」
と念も押しながら、言った。
「さて、引き上げるぞ。」
小鬼がそう言うと、鬼たちは黒い雲を作り出し、次々とそれに乗り始めた。
「では、小十郎殿。また会いましょうぞ。」
「ふん。」
小鬼はにやけながら、言ったが、小十郎はまたもそれを一蹴した。
鬼たちが帰ると、辺りには、赤ん坊と二本の妖刀とバンダナの男が夕闇の静けさに包まれながら、焼け野原の上に残されていた。
「せめてもの償いだ。
こいつを超一流の鬼切人に育ててやろう。」
小十郎は笑顔になりがら、赤ん坊に向かってそう呟いた。
そして、赤ん坊に近づき片腕持ち上げ、もう片腕で二本の妖刀を持ち上げた。
最初のコメントを投稿しよう!