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「それで?頑張りすぎて酸欠を起こしたと?」
ぐったりと横たわるガイを呆れ顔で眺めているのは、集落唯一の医師ジュードだ。
ガイは横になり、手でジェスチャーをする。ドリルを動かすように左手を回転させ、掘り進めたぞ野郎共と言わんばかりのガッツポーズをとり、苦しそうに両手をピクピクさせ、ガクッと力を抜く。
「なるほど、つまりはガイ。君はかつてない程の穴を掘り進めて、あまりの嬉しさに大声を上げて発狂し、酸欠を起こした」
コクリと一度だけ頷いたガイは魂が抜けてかのように口を開ける。
「馬鹿だな本当」
「うるせぇジュード。漢ってのは成し遂げねばならない事があるんだよ」
「全然声出てないなおい。あとジュード先生と呼べといつも言ってるだろ?お兄さんでもいいが」
「誰が呼ぶかよ。俺はな、兄貴は作らん。俺が誰かの兄貴になってやる」
「意味が不明だよ。でもまぁもう少し休んどけ、暫くしたら回復するだろう」
ジュードはガイにコップ一杯の水を与える。ガイはそれをぐいっと飲み干した。
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