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『ーーんっ…駄目だよ……。』
『うるせぇ…』
ベットが軋む音と、二人の激しい息遣いだけしか聞こえない。
果てた私達は、肩で息をしながら天井を見上げ、息を整えていく。
亜季は、大きく上下する私の胸を枕代わりにし、言葉を発した。
『ねぇ、今日…何回した?』
『ーー知らねぇ…』
身体に彫ったばかりの私の刺青を指先でなぞりながら、亜季は小さく笑っていた。
いつの間にか寝息を発てる亜季の腕を解き、冷蔵庫の中からビールを取り出し、喉を鳴らしながら流し込んでいく。
普段、亜季が座る小さな座椅子に腰を下ろし、煙草をくわえ、火を点けた。
フゥーっと、一つ煙を吐くと、今更ながら気付かされる。
私は、いつの間にかベットの中で眠る女を、好きになっていたのだった…
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