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橋本が居なくなった事務所内は、私達チンピラ風情の若い衆にとって、自由過ぎる程の場所であった。
事務所の電話を使い、それぞれのお気に入りの若い飲み屋の女に連絡をし、銭も無いのにも関わらず『店に行くから待っとけ』等と言い付け、のうのうとただ酒を浴びていく。
くだらないチンピラに、熱を上げる女達を囲い、あたかも、この世の中は、己中心で動いていると勘違いする者達がいるのだった。
私も、その中の一人であったのだが、亜季との出逢いがきっかけで、変わっていったのかも知れない。
酒に呑まれ、意識を取り戻した時は、知らない部屋のベットに横たわり、起き上がった私の目の前には、テレビの画面に釘付けになっている知らない女がいたのだった。
『誰だよ?』
振り向いた女は、涙を流しながら私を見る…
私は、この時からもう…目の前の女の虜になっていたのだと、今だからこそ思う。
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