Ffug

13/15
前へ
/140ページ
次へ
 すぐに、モニターいっぱいにTLが広がる。  朝らしいメッセージが大量に送信されていて、『おはおー』『起床ー』『おきた』『やべ、寝坊』なんかが流れていた。それを見ていて、少しだけ俺は笑う。 『おきたーおはー』  キーボードを叩いて、俺はエンターキーを押した。  まだ、朝の八時二十五分で、休日にしては早い時間帯になっている。みんなは楽しそうに、カヌートの中で話し合っている。  そして、ジェーブから、 『@DRAGONSPSL おはよーネクネク』  と、おはリプ(おはようリプライ)が返ってきた。お、珍しい。 『@zyebu おおおwww珍しい、ジェーブが早起きしてる』  キーボードを叩いて、俺はそうエンターキーを押した。朝、誰も邪魔しに来ないこの時間帯は、一番好きな時間かも知れない。  何となく、俺はそう思う。 『@DRAGONSPSL ネクもいつもはもっとおそおきだよwwwww?』  ジェーブのアイコンは、笑っていた。  俺には、それだけが分かる。 「何か、朝なのにTL早いな……、」  小さく、俺はそう呟く。流れていくテキストは、次々と新しい物で埋まって行った。そのほとんどが『おはよー』と、おはリプのように思える。 『@zyebu オソオキとかwwwww』  そう打ち込んで、それから送信した。  みんな、朝からカヌートに入り浸っている。俺からしてみても、なんとなくそう思った。俺が言うべきではないかもしれないけれど、もっと他にやることがあるんじゃないだろうか。  最も、まずは俺がカヌートを閉じるべきなのかもしれないな。何となく、皮肉気にそう思う。  その時だ。  そのリプライは、本当にいきなりだった。 『@DRAGONSPSL』  何もない。  ただ、俺のユーザー名が入っているだけで、それ以外何もない。空リプ(何も書かれていないリプライ)だ。 「ん?」  それを見て、俺は眉をしかめる。 「誰だこれ、」  独り言だ。  モニターに映し出されているそれには、どう見てもなんの言葉もない。誰かが間違えて、俺にリプを送ったようにも、なんとなく見える。間違えて返信ボタンを押して、また間違えてエンターキーを押してしまうことなんて多々だ。  だが、引っかかったのはそれだけではない。  そのリプライには、ユーザー名が表示されていなかった。IDも、『?????』となっていて、文字化けしてしまっている。そんなこと、一度も今まで無かったはずなのに、だ。  それに、もっと引っかかったことがある。
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加