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「ならば聞こう…レオナルドよ、その染みは何だ?」
ご主人様が鋭い声でレオ様に詰め寄った。
「こ、これはその…洗っても落ちなかったもので」
答えになってないっっ!
いやいやレオ様、そういう話では…
これって、話をそらそうとしてる?
「あの事件の日までは、確かになかったよな?」
こ、これは…あやしい?
いえ、落ち着くの、落ち着くのよ海影雪美。
そんなのよくあることじゃない。
まだレオ様が犯人と決まったわけじゃないわ。
なにより、ご主人様みたいなヒドい人のいうことなんて当たってるわけがない!
言わなきゃ!
「だ、だからって、犯人とはならないんじゃないですかご主人様?もし染みが血だったとしても、どっかケガでもしちゃったせいかもしれないんだからねっ」
「そ、そうそう、思い出しました。そういえばこの間ちょっとドジしまして」
あたしのあとに続いて、レオ様がいった。
ほら、やっぱちがうじゃ~ん
思い出してくれてよかった。
「だいたい殺人とかいい加減なこと言い過ぎなんですよご主人様!あたしは葉織ねえさんは部屋から誤って落ちたってきいてるし、あたしが大好きだった葉織ねえさんはそんな恨み買う人じゃありません!さあ、レオ様に謝ってください!自分の間違えを素直に認めることも、人としてひとつの成長ですよ?」
「それについては、気になることがあってな…」
でもご主人様は、あたしの言葉を冷静な様子で受け止めた。
「葉織の遺体は、庭にある騎士像の、天に向けて振り上げている剣の部分に貫かれていたのだ……ただ落ちただけなら、あんなふうに刺さるものだろうか?」
「そんなの、なるかもしれないじゃないですか!じゃあなんですか?例えば最初にナイフかなんかで刺して、その傷を隠すために真犯人がわざともっとひどい傷をつけようとして遺体をわざわざ像に刺したとでもいいたいんですか!?」
ガタガタっ!
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