とち狂いはじめたご主人様の章 ~第1幕~

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「海影、今お前が踏んだものはなんだ?」 「え?あたしなんか踏みましたっけ?」 ……すっとぼけましょうここは。 「よく自分の足下をみてみろ。反論に熱くなっていてわからないのか?」 あああっ! やっぱダメ!? うぐ… こ、これって動かぬ証拠ってやつでは… でもレオ様が犯人とは限らない! たまたま拾ったから…てのは苦しいかもしれないけど、きっとほんのちょっとだけ関わりがあるくらいよ! なにより、 ご主人様の考えが当たってるなんてことありえない!! 絶対あっちゃいけないんだからっ! あたしはたった今みつけたっぷりでそのナイフを拾い上げて、ご主人様に見せることにした。 「あっ!こんなところにどこにでもあるよーなナイフが!こ、これはいったい!?」 と、 もっかいすっとぼけてはみたものの。 「ふむ、刃には乾いた血がついているようだな…そして、それは先ほどレオナルドが転んだ時に落としたものだ、そうだろう?」 ご主人様いたって冷静!! 「そ、そ、そそそんなことわからないじゃないですか!ご主人様は犯人だって決めつけようとしてるだけです!だいたいなんで葉織ねえさんが殺されたことにしたいんですか!?さっきもこの方がいったように、自殺…」 あれ? そういえば、 前に聞いたとき、 葉織ねえさんは、 たしか誤って転落したっていってたような…… でもレオ様さっき確かに自殺って…… 「この中に、葉織は自殺だときいていた者は」 …………………… 誰も何も言わない。 「何かしらのアクシデントによる、転落による事故死ときいております」 さっきの、執事の人がまたダンディーな声でいった。 そこにいた皆様、いっせいに頷く。
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