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「も、申し訳ございませんご主人様ーー!!」
あたしは思いっきり深く頭をさげ、精いっぱい謝るしかなかった…
「わ、わたくしが間違っておりました……」
「わかればいいんだ、海影。お前もこれでひとつ成長したな」
な、なんですってー!?
くっそーくっそー
何この上から目線!
くやしいいいい…
…でも。
今までカッとなってて意識してなかってけど、
ということは、レオ様が葉織ねえさんを…
「なぜ葉織に手をかけた」
ご主人様はさっきより深い声でレオ様に問いかけた。
「上からの命令だ。華菊葉織は、生かしておくと不都合が多いという話は、よくきいていた。断ったら俺を殺すといわれて、やるしかなかった…」
レオ様はそういって、皆を視界から外し、天井を見上げた。
「たが、今は後悔している。こんな俺の事をかばってくれるお嬢さんの大事な人を奪ってしまったことを……」
そういって、レオ様はあたしに視線を向けた。
「ありがとう。犯人だと知らなかったとしても、見ず知らずの俺をかばってくれて。本当に嬉しかった…人は本当は優しいもので、優しくあるべきなんだと思い知らされた。この罪を償うためなら、俺はどんな報いでも受けるよ」
着ぐるみの中の素顔は、そのとき泣いていたのだろうか。
葉織ねえさんのことを、悔やんではくれてるのかな。
それを知ることもなく、さみしげな背中のゆるキャラのぬいぐるみは、自首するといってこの屋敷から去っていった。
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