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真夜中の星が灯る空の下で。
最後の瞬間まで強さを失うことのない瞳で。
その凛とした佇まいで、華菊葉織は、彼女の終焉を向かえようとしている。
「あなたは桜のように華やかで、星のように静かに美しいのだな、確かに」
鋭く反射する刃と、いまさらの讃辞を向けられても、葉織は静かに、強さを失わず笑みをたたえる。
「ならば桜が散るように美しく、わたしを完結させなさい」
そして、
握られた刃物が葉織に刺さる。
「悪く思うな」
ゆるキャラのライオンの着ぐるみに身を包んだ男がつぶやいたこの時にはもう、
あらゆる真実を闇から暴き出すことのできる、
彼女と彼の物語は、
動き始めていたーー
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