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背後の殺気に、ヘリオスは振り向き様に蹴りを放った。風を切るような鋭い一撃は、ヘリオスに殴りかかろうとしていた相手を一撃で叩き伏せる。即座に次に目をやり、間合いの中にいた一人にストレートを見舞う。
「く…!」
「おのれ!」
そんな悪態をついて、残った戦闘員はヘリオスから飛び退くと一斉に咆哮を上げて蜥蜴(とかげ)怪人に変化した。
ヘリオスは驚く様子もなく身構えたが、それは無駄に終わった。
「!!?」
咆哮が苦悶の声によって途切れると、三体いた蜥蜴怪人はそのまま前のめりに倒れた。
その後ろには、ナイフを携えたソルの姿があった。
「うっそー…もう終わったの?」
「大した数じゃなかったからな。」
驚きの声で問うヘリオスに、ソルはため息混じりに即答した。
確かソルと戦っていた戦闘員の方が人数が多かった気がしたのだが、それを大した数じゃないで済ませてしまうのかと、幸平は複雑な気持ちで肩を落とした。
「俺、まだまだ全然だなあ…」
「経験値が違うんだ、当然」
言いかけたソルが不意に言葉を切った。訝しげに思ったヘリオスが問いかけるよりも早く、『それ』を察知した感覚が体を動かし、二人は同時に飛び退いていた。
直後に、今まで二人がいた場所に、重い音を立てて何かが落ちてきた。正確には、降りてきたと言った方が正しいのかもしれない。
「ねえ朝…じゃなくてソル、」
「何だ?」
「コートの人たちって、何でいつもヘビかクモなんだろうね?」
「知るか。」
素朴な疑問を、朝義は心底どうでもよさそうに切って捨てながらナイフを左手に持ち変えると地を蹴った。
その先にいるのは、黒のコートを纏った二体の怪人だ。その内の一体である蜘蛛怪人は即座に横に跳んだが、もう一体の蛇怪人は動かずにソルを待ち構えた。
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