その1

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「そ、そうなの…?」 「けど幸平君、心配じゃないか?」 「え、何が?」 「ここが『野良』に襲われてさ。」 「あ…うん、心配、だけど…」 常連の指摘に、幸平は居心地が悪そうに視線を逸らしながら答える。幸平の変化に気づいていない常連は、「そういえば」と思案げに首を傾げる。 「あれも『野良』だったのかな…?」 「あれって?」 「ほら、二回目の、夕方に『野良』が来た時だよ。怪人ぽくない怪人が二体いて、コウモリみたいなのと戦ってたろ?」 「うぅ…!!」 「さ、さあ?あたしは、見てないなあ…」 その怪人らしからぬ怪人の正体である幸平は悪さがばれた子供のように身を縮こませ、知っている日向は盛大に頬を引きつらせてしどろもどろになりながら、全く成功していない素知らぬふりを決め込んだ。大和田に至っては、そもそも会話に加わっていない。 「俺はちらっとだけ見たんだけどさ、あの赤いのと青いのはかっこよかったなあ…」 「っ!ほんと!?うぐっ!」 「ん?どうした幸平君?」 「な、なん、でも、ないよ…!」 かっこいいに反応して日向に背中を殴られた幸平は、怪訝そうな視線に引きつった笑みを返した。
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