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「と言うわけなんです」
「わけ分からん」
何でこいつはそれで弟子になろうと思ったのだろうか……いや、話を聞く限りバカだな。そうに違いない。
「そこで僕に二つの選択肢が現れました。放置か逃走。そして僕は迷いなく逃走しました」
「迷えよ」
何こいつ怖い。
「そして逃走のさい、さりげなく万引した蜜柑がそれは美味くて美味くて」
「教師の前で犯罪暴露ご苦労さん。だが蜜柑の素晴らしさに気づいたのなら大目に見てやろう」
「ベリーサンクスです。で、蜜柑を食べてる最中にエース先生の顔が浮かんだんですよ。そしたら次には、『あ、弟子になろう』と思い立ったわけです」
「いやその理屈はおかしい」
「どこがですか!? 何がダメなんですか!? 納得する説明を要求します! それまで先生の部屋でお茶飲んで待ってますから! ふんっ!」
「全部だよ! お前の言ってること徹頭徹尾おかしいんだよ!」
それと何で俺は逆ギレされてんだ!?
「大体、魔力が無くてもそんな度胸があるなら、別に強くなくても勉強で見返せばいいだろ」
「やだなー、言ったじゃないですかー。思い立ったわけですって。まあ、ぶっちゃけその場の空気とノリです」
「ぶっちゃけたなー」
だけど、こいつこのままじゃ帰ってくれなそうだし……そうだ。
「じゃ、弟子になるための試験として、妖精の涙を取ってこい。3日で」
「わっかりました! 行って来ます!」
……行ったか。
バカめ。妖精の涙は、妖精を捕まえて特定の状況下で泣かせないと行けないのだ。捕まえるだけでもSSランク級。泣かせるとなると、もはやZランク級だ。
「やれやれ、もう一度寝るか」
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