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このギルドの受付嬢 マリは、ギルドに在籍してる者にとってアイドル的存在らしい。そんなことは露知らず、青年は喋り続けている。
「おい、この僕に相応しい情報はないか?僕の名声を広く世に知らしめる事の出来るものだ」
マリは面倒に思いつつも応対をしていく。
「失礼ですが、まずお名前を聞かせてもらえますか?」
この青年がギルドに来るのは初めてなので至極当然の反応である。
「ふむ、そう言えばまだ名乗ってなかったな。では、よく聞くがいい僕の名前は…トムだ!」
青年…トムは意味もなく威張りたてている。マリはイライラしつつ更に続ける。
「(こいつ駆け出しね…)はいっ、それではこちらなどは如何でしょう」
マリは営業スマイルで情報をトムに差し出した。
「最近、世界各地でダンジョンが出現ししています。そして、この町の付近の山にも1つ新たに出現しました。まだ誰も行ったことはありません。ただ…」
トムはマリの言葉を遮り1人で喋り続ける
「もう、分かった。未だに誰も足を踏み入れない秘境のダンジョンか、僕に相応しいではないか。ハッハッハッ」
トムは勘違いに勘違いを重ねてギルドから立ち去っていった。
残されたギルドでマリは1人でそっと呟く。
「最近現れたのは初心者向けの簡単なダンジョンばかりだから、誰も行かないだけなんだけどなぁ……」
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