駆け出し(1)

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このギルドの受付嬢 マリは、ギルドに在籍してる者にとってアイドル的存在らしい。そんなことは露知らず、青年は喋り続けている。 「おい、この僕に相応しい情報はないか?僕の名声を広く世に知らしめる事の出来るものだ」 マリは面倒に思いつつも応対をしていく。 「失礼ですが、まずお名前を聞かせてもらえますか?」 この青年がギルドに来るのは初めてなので至極当然の反応である。 「ふむ、そう言えばまだ名乗ってなかったな。では、よく聞くがいい僕の名前は…トムだ!」 青年…トムは意味もなく威張りたてている。マリはイライラしつつ更に続ける。 「(こいつ駆け出しね…)はいっ、それではこちらなどは如何でしょう」 マリは営業スマイルで情報をトムに差し出した。 「最近、世界各地でダンジョンが出現ししています。そして、この町の付近の山にも1つ新たに出現しました。まだ誰も行ったことはありません。ただ…」 トムはマリの言葉を遮り1人で喋り続ける 「もう、分かった。未だに誰も足を踏み入れない秘境のダンジョンか、僕に相応しいではないか。ハッハッハッ」 トムは勘違いに勘違いを重ねてギルドから立ち去っていった。 残されたギルドでマリは1人でそっと呟く。 「最近現れたのは初心者向けの簡単なダンジョンばかりだから、誰も行かないだけなんだけどなぁ……」
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