ピンからキリまで

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   ピンからキリまで

 医者も人間、ピンからキリまで十人十色。  1人僻地に赴き、貧困病魔と戦う医者もいれば、法外なでたらめ診療で、一躍マスコミ界のスターダムにおどりでる御仁もいます。  私の見るところ、ピンとキリは10人に1人。ほとんどは自分の仕事にプロフェッショナルの誇りと情熱を持って、こつこつ日常診療に励むお医者さんです。  マスコミは、意外性を取り上げないとニュースになりませんから、そこにご登場なられる人は、このピンとキリの方々なんです。  マスコミが騒ぐと、医者すべてがそうであるかのように錯覚しがちですが、ほんとうは、そうでないお医者さんのほうが、圧倒的に多いのです。  医者というと、「白い巨塔」にご登場の財前五郎ばりの、いかにも格好いい職業のようにお思いでしょうが、実際はどうしてどうして。苦労ばかりが多い仕事なのです。  だいたい夜中に、当たり前のように起こされる職種が、ほかにありましょうや!(←(^ω^)何と愚痴っぽい言い方だこと)  世間様は寝ているのに、病気は夜にも、ちゃんと起きて下さいます。  銀行なんぞ夜中に行っても、冷たくシャッターがおりているだげ。泣けど叫べど、はたまたシャッターをいくら叩けど、だれも相手にしてくれません。ガードマンか警官に追い払われるのがおちなのです。  太古の昔から、夜は神様が作って下さった、いこいのひとときなんです。ところが、疲れていようが、やりたいことがあろうが、医者にはそんなことはおかまいなし。  トイレにいようと、お風呂で鼻歌まじりの気分にひたっていようと、終えるのを病気は待っていて下さいません。  病気も予約制で起きてくれたらと願うのは、私1人のことではないでしょう。
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