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「そこまでだ!」
沈黙を破るように部屋を蹴破って入ってきのは―――
「と、戸塚!?」
戸塚の後ろから湧いて出てくるように数人の警察官が取り囲む。
「なんとかお前ら生きてたな、間に合ってよかった」
「戸塚、ど、どうしてここに……?」
部屋は完全に包囲され、戸塚は嘉神の腐敗した腕を見て眉を顰めた。
「馬鹿が……」
押し寄せる警察に亮太は唇を噛んで震えていた。
「理沙さん、嘉神さん! 早く僕を取り押さえて! 早く! うるさい! お前は出てくんな! お前の身体は俺のものなんだよ!」
「た、隆……?」
その時、少年はひとつの体で二つの人格と混同していた。
同じ人間でありながら表情が違う、声音が違う。
「隆君!」
理沙はその人格を引き戻すようにその名前を呼んだ。
「うるさい、やめろ……隆って呼ぶな……」
「隆君! お願い、戻ってきて!」
「り、理沙……さん……」
少年の瞳から狂気の色が徐々に消えていく、そしてあどけない表情に変わり呆然と周りの光景を見渡した。
「ぼ、僕……一体何を……」
紛れもなくその少年は理沙の知っている牧野隆だった。
何も知らなくていい、そんな想いを込めて理沙は震えだす前に隆の身体を優しく抱きしめた。
「もう、大丈夫だから……」
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