藤宮麗奈の不思議な告白

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  僕は、困惑する。 産まれてから今日までの十五年余り、恋愛どころか生活全般に変化が無かった僕に、いきなり神様は試練をお与えになられたのだ。 事の起こりは始業前、登校時間にまで遡る。 今日も今日とて、家から約三十分の道程を、何かしらの事件が起こるわけでもなく誰かしらと曲がり角で衝突するわけでもなく、極めて平凡に歩ききった僕は、最早機械的と言っても機械に失礼の無いレベルだと思われるくらい何の感情も持たず、自身の下駄箱を開けた。 そこまでは良かったんだ。 問題は、その中にラブレターよろしくピンクの便箋に包まれた、おそらく中身は手紙であると予想される物体が、僕のシューズの上に鎮座なされていた事だ。 そこで丸々一分思考停止した僕を、一体誰が責められようか。 いや、責められるハズがない。 生憎と僕は女子から恋愛対象として見られたことが無いのだから。 それは中学卒業の折に実施され、結果を公表された卒業生対象のアンケート――『同学年の中で一番出世しそうな人物』から『一番オニギリが似合いそうな人物』といった設問まで取り揃えた、百貨店並みにレパートリー豊富なモノ――で、『恋人にしたい異性(男性部門)』で最下位の称号を得たことからも明らかだ。 ……まぁ、最下位は僕も含め五十人はいたのだけど。 いや、自身の名誉とプライドの為に言わせてもらうが、ルックスに関しては自分では捨てたモノでもないと思っている。 月並みな表現だが、取り立てて見目が悪いということもないが、特に秀でているわけでもない……といった感じ。 ならば内面が絶望的なまでに悪いのかと言われると、それにも首を傾げてしまう。 自分でいうのも何だけど、普通の人間として悲しいと感じる時は悲しいと感じるし、怒る時は怒る。 僕の喜怒哀楽は、常人のそれと何ら変わりはないハズだ。 つまり、外面内面ともに十人並みな、そこらによくいる青少年……それが僕。  
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