藤宮麗奈の不思議な告白

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  そんな極々普通であるこの僕が何故最下位などという不名誉極まりない称号を得てしまったのかというと、おそらく僕のモブキャラ人生に起因する。 運動も人並み学力も学年のど真ん中、過去回想に突入してもおそらく諸兄の顰蹙を買いかねないくらいに何もなかった僕の成長記録……と、十代の夢見る乙女達のセンサーが反応しそうにもないアビリティしか所持していないのである。 何か得意な事も無いので、僕のスキル欄は閑古鳥が鳴き叫んでいること請け合いである。 ……とまぁ、ここまで長々と僕が如何に女性にモテないかを語ってきたが、そろそろ本題に戻ろうと思う。決して、自分で語ってて悲しくなったわけではない。 さて。 一分間静止していた僕は、周りから見れば明らかに挙動不審だと思われるくらい前後左右上下と全方位を何度も見回してから、恐る恐る手を伸ばし……便箋を摘まんだ。 待て、違うんだ。 君達の非難は重々承知だが、間違っても汚いモノだと思って摘まんでいるわけではない。 高貴なモノの前では、変に自分を卑下しちゃったりすることがあるでしょ? アレと同じ。 前述したように、女性経験が皆無な僕にとって、なんだかこの便箋はひどく神々しいモノに思えたのだ。 後光が差しているようにも見えるが、たぶんコレは緊張し過ぎて僕の目がおかしくなったんだと思う。 だから、出来るだけ汚ならしい僕の手で触れないようにしようという僕の気持ちが……分かりませんかそうですか。 一応裏も表も確認してみたが、送り主の名前は無し。 書いてあったところで、顔が思い浮かぶ事など有り得ないのだけど。 とりあえず、ドクンドクンと五月蝿い心臓を落ち着けるため、深呼吸を何度も何度も繰り返す。 ……今思ったけど、朝から僕は何をしているんだろうか。  
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