第1章 サンタシ編

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【1話 碧い男】 ひどく寝苦しい夜だった。 嫌な夢をみた。 狭苦しい箱の中に閉じ込められている圧迫感。 早く解放されたいのに、なぜか身体がピクリとも動かない。 暗闇の中でなんとか声を出そうとするも、それさえも適わない。 苦しさで喘ぎそうになるその瞬間、ふっと身体が浮き上がるような気がした。   いや、これは夢ではない、実際に浮き上がっているのだ。 「ん……」   重い目をなんとかこじ開けると、薄暗闇の中で自分が誰かに抱えられている格好になっていることに気付いた。 「え……? ちょっ!」   慌てて身じろぎして身体を突き放そうともがくが、ほとんど効果は見られない。 先程、なかなか寝付けなかった朱音は、数時間ベッドの上で寝返りをうってばかりいたが、確かに一刻程前に浅い眠りに落ちたばかりだった。 なのに、今はこうして見知らぬ者に抱きかかえられている。これは誘拐か何かの事件に巻き込まれた以外に考えようがないではないか。 「起こしてしまいましたか……」 すぐ上から降ってきたのは、意外にも落ち着いた男の声。 「なにすんの!? はなしてってば!」  image=484123345.jpg
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