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この口振りからしても、二人が知り合いなのは確実である。
「うん。サンタシで匿われていたとき、ヴィクトル陛下がわたしの護衛としてつけてくれた術師。すっごい口が悪くて素直じゃないんだけど、ルイと本当によく似てた」
鏡の洞窟でロランを最後に見たときは、地面に蹲り、ローブから血を滲ませていた。
あと少しのところでアザエルに命を絶たれるところだったのを、フェルデンが止めてくれたのだ。
あの後、ロランが無事に白亜城に戻ったのかは未だに分からない。
「ロランは、ぼくの双子の弟です……」
淋しそうなルイの顔からは、いつもの朗らかな笑みは消えていた。
ルイとロランの間に一体何が起こったのか、それは朱音が安易に踏み込んではいけない領域なのかもしれない。
けれど、朱音は敢えてその領域に踏み込んでいった。
「やっぱり……。あんまり似すぎてるから、初めはロラン本人かと思ったよ。だけど、ルイとロランは別人だった。どうして離ればなれになってしまったの?」
ルイは、悲しい出来事を思い出すかのように、そっと目を閉じて話し始めた。
「ぼくとロランは魔族の血を引く父と、人間の血を引く母の間に生まれました……」
朱音は静かに少年の話に耳を傾けていった。
二人の父はゴーディアの騎馬隊の小隊長を務める勇猛な魔族の騎士で、サンタシ国にあるミラクストーという街へ遠征に来ていた。
この頃、二百年前の魔城落城の窮地にまで追い込まれた事件、“マルサスの危機”の時代で、サンタシ国王の玉座に着いていたセドリック・フォン・ヴォルティーユが百〇三歳で死去した後、孫のロベール・フォン・ヴォルティーユがその後を継ぎ、サンタシの実権を握っていた。
しかしロベールは、贅沢を好み財を自らの欲望のままに使い果たす愚王であった。
そのせいで、サンタシの国の防衛力は見るからに低下し、セドリックの頃と比べると遥かに国力を落としていた。
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