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いくら待てども寝首をかこうとする気配も無く、ひたすらに明け方まで少年王の看病は続き、日が明けきる前には少年王を含む三人は静かに診療所から去っていった。
(あの少年王、一体何者なんだ……? フェルデン殿下とはどんな関わりが……)
ユリウスは冷えた外気にぶるっと一つ身震いすると、もう一度毛布に深く身体を潜らせた。
そして昨晩の出来事を目を閉じて思い出していた。
ビュンッと風を切る音。
ユリウスはさっと身を翻して刃を逃れた。
小雨が降り始めたせいで、仕方なく宿を探すユリウスと護送中の罪人アザエルは、闇と同化する藍色の衣に身を包んだ謎の覆面の三人組みに囲まれていた。
降りしきる雨で視界が悪く、服は水を吸ってひどく重い。
この者達は、雨の音に紛れて突如二人の前に姿を現したのであった。
「何者だ……!」
湾曲した剣士らしからぬ短い刀身に、見慣れぬ上下の境目のわからぬ衣装。
三人の身のこなしは軽く、常人ではないことはすぐにユリウスにもわかった。
ユリウスの投げかけに反応を示すこともなく、三人は容赦なく刃を繰り出す。
『ドッ』という鈍い音とともに、一人が後方に背中から転がった。
未だ手を拘束されたままのアザエルが、片足で蹴りを溝落ちに食らわせたのだ。
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