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小柄なユリウスは果敢に魔王の側近に攻め入った。
「やめて!! アザエル!!」
「閣下!!」
朱音とルイの必死の呼び止めにも関わらず、ものともしない。
初めは圧しているようにも見えたユリウスだったが、形勢は逆転し、いつの間にかアザエルによって後ろへと追いやられる形になっていた。
「くそっ」
その瞬間、ユリウスの剣がアザエルの剣に薙ぎ払われ、ぶんぶんと音を立てて宙を舞うと、カランと地面に落とされた。
「若いが、なかなかいい腕をしている。殺すには惜しいが……。これも陛下の為だ」
アザエルは丸腰になったユリウスに剣を振り下ろした。
「やめてーーーー!!!!」
朱音が叫んだと同時に、
「そうはさせませんよ」
という声が降り、ごうっと音を立てて空から叩きつけるような風が巻き起こった。
吹き飛ばされそうな程の突風に、ユリウスもアザエルも地から足が離れぬように必死に耐えた。
アザエルの手から剣が離れ、少し離れた場所へとカラカラと吹き飛ばされた。
「魔族か!」
すっと突風がやむと、アザエルは忌々しげに上を睨んだ。
「何者だ……!」
今まで気配を感じさせなかった男の存在に、ユリウスは寒気を覚えずにはいられなかった。
すたりと地面に舞い降りた男は、にこりと朗らかに微笑んだ。
こんな緊迫した状況に不似合いな笑みを浮かべ、男はなんともないような口調で話し始めた。
「申し遅れました、わたしはクリストフ・ブレロ。この方の友であり、しがない美容師です。わたしはクロウ陛下の旅を手助けする契りを交わしました。ですから、その約束を果たす為に、ここでサンタシの使者殿をみすみす殺させる訳にはいかないのですよ」
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