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【25話 旅は道連れ】
「やるじゃねえの」
藍色の布を頭から足首までを覆い隠す布を被った男が、木の上からぴょんと軽やかに飛び降りた。
降りしきった雨はいつの間にか小雨へと変わっている。
「けど、さすがにこいつらじゃ相手にもならなかったか……」
地面に転がる四体の残骸をごろんと蹴飛ばすと、ぺっと唾を吐き捨てた。
男は被った布の下でくくくっと笑いをこぼした。
予想外の面白い展開に笑いを堪えることができなかったのである。
(しっかしまあ、こんな場所にクロウ国王が登場するとはなあ……。それに、あの横にいた男……。風を操ってやがった。面白いじゃねえの……)
くくくっと再び笑いを零すと、男は何かを思いついたようにピタリと笑いを止めると、ひゅうと一つ口笛を吹いた。
「気がつきましたか」
ユリウスが丸椅子から立ち上がると、まだ夢うつつにぼうっと天井を見つめるフェルデンに歩み寄った。
フェルデンの顔色は随分血行を取り戻し、熱も微熱程度に落ち着いてきているようであった。
「アカネに会った……」
天井を見上げたフェルデンの横顔は、ひどく落ち着いていた。
ユリウスは口を開きかけたが、言葉を口にするのはやめておくことにした。
「ユリ、ここは……?」
「ボウレドの街医者、フレゴリーの診療所です」
ユリウスは一呼吸置いてから言った。
フェルデンは驚いた表情を浮かべて天井からユリウスへと視線を泳がせた。
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