第1章 サンタシ編

29/29
前へ
/542ページ
次へ
 次に目を開けたとき、朱音は草の上で一人倒れていた。   金色の穴は朱音が通った直後、ロランの手によって素早く閉じられてしまったのだろう、周囲にそれらしきものは見当たらない。 「う……そ……」   愕然としながら朱音はそこら中を暗闇の中探し回る。 「フェルデン……!! フェルデン!」   さっきまですぐ傍にあったフェルデンの気配はどこにも感じられない。 もう、二度と彼に会うことは叶わないことだけは朱音にも理解できた。 「ラ・レイシアスってどういう意味だったんだろ……」   朱音は草の上にへたり込み、まだ耳に残る優しいフェルデンの声を何度も頭の中で反復していた。
/542ページ

最初のコメントを投稿しよう!

468人が本棚に入れています
本棚に追加