第2章 ゴーディア編

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「クロウ殿下の魔力と記憶は、二百年前に行なわれたアースへの転生の儀式によって未だ眠りから覚めていない。おそらく、記憶が戻りさえすれば魔力も戻ってくるだろう。しかし、この事が他の者の耳に入ってでもみろ、内乱はおろか、ゴーディアは他国の一斉の攻撃の的と様変わりすることとなるだろう」   ルイの目が強く揺れた。 「黙っていろ。他の者には、クロウ殿下は今は力を秘めたまま温存しているのだと話しておけ」   アザエルは碧い髪をしゅるりとポケットに入っていた黒い紐で結うと、ルイの隣を銅像か何かの横を通り過ぎるような顔で通り過ぎた。 「何があってもクロウ殿下から目を離すな。いいな」   結われたさらさらとした碧い髪は優雅にルイの首元を掠めていった。   まるで、自分がこれからはこの黒髪の主についてやれないことを嘆いているかのように。
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