第2章 ゴーディア編

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「なんだか今日は騒がしいね。何かあるの?」 朱音は復活の儀式の日の慌しい城内の様子を思い出し、身震いする。 「ああ、殿下の即位式の準備ですよ」   霞がかった灰色の目をきらきらと輝かせながら、従者である少年がにっこりと可愛らしく微笑んだ。 「は!?」   がたりと音を立てて朱音は椅子から立ち上がり、がくがくとルイの肩を揺さぶる。 「何それ!? そんなこと一言も聞いてないよ!? どういうこと!?」   激しく揺さぶられ、何度も舌を噛みそうになりながらも、ルイはなんとか言葉を紡いだ。 「何、と、申、され、まし、ても、殿、下、が、この、国、の、王、に、なる、ん、で、す、」   またしても、朱音の意思を完全に無視して、とんでもない方向へと話が進んで行ってしまってる。 そのことに腹立たしさを抱き、朱音は掴んでいたルイの肩から手を離すと、バンと大きな音をたててテーブルを両手で叩き付けた。   大きな音にびくりと飛び上がったルイは、 「クロウ殿下……?」 と、恐るおそる顔色を伺っている。 「ルイ、もう我慢できない! 今直ぐアザエルをここに呼んで!」   灰色の少年は言い難そうに、小さく呟いた。 「あの、殿下? 今はサンタシから遣いの者が来ているとかで、アザエル閣下はこちらへは来られないかと……」    朱音は久しく聞くことの無かった“サンタシ”という言葉に、ドキリとした。 もしかして、フェルデンが自分を取り戻しに追いかけて来てくれたのでは、という期待に胸が高鳴った。 「サンタシから!? どんな人だった? 背は高かった? 髪の色は? 瞳は?」   やけに食いついて来る朱音の迫力に圧され、ルイは数歩後退りしながら言った。
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