机の引き出し

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 貴弘は山の中で気を失っていた。 「俺・・・どうしたんだ・・・」  貴弘の後ろには丸い穴がある。そこをのぞくと異空間内に乗ってきたであろうタイムマシーンがあった。  「まさか・・・本当にタイムスリップしたわけじゃないよな。」  疑問に思いつつかすかに見える麓の村らしい地帯に下りて行った。  麓に下りてみると大河ドラマで見たことあるようぼろい家の農村があった。 「時代劇の撮影なのか」  しかし、あたりにはカメラらしいものも、監督らしい人もいない。 「なんだこれ」   貴弘の頭の上は、ハテナだらけであった。  状況を把握しようと腕組みをし、考えこんでいると薄汚い農民であろう一人が急に声を上げた。 「うつけがきたぞ!」  途端に畑仕事をしていた人たちは大慌てで道にひれ伏せる。貴弘は物陰に隠れその様子をみていた。  パカッパカッという馬の蹄の音とともに、髷を結った20代後半くらいの男が現れた。 「これは信長さま。」  農民の一人が丁寧に頭を下げる。 「信長・・・もしかして織田信長か!さっき、うつけって言ってたし・・・!」  貴弘は頭をフル回転させた。カメラやスタッフのいない農村、うつけと呼ばれる信長という髷を結った。  「間違えない、ここは戦国だ」  貴弘は急に恐くなった。そして現代に帰ろうと山を駈け登りあの穴へ飛び込んだ。    再びタイムマシーンに飛び乗り現代の西暦を入力し発進させ、自分の部屋の引き出しに帰ってきた。 「なんだあれ、本当に戦国時代に行っちゃった。信長がでてきたし。なんだあれ」  頭がパニックだった。 寝転がっていろんなことこと考えてるうちにいつのまにか寝てしまった。
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